190 3匹の肥羊

矢崎粟の話を聞き終わると、傍らにいた矢崎泰でさえ背中に冷や汗が流れ、思わず体が震えた。

今、自分の一挙一動が監視下にあるような感覚に襲われていた。

しかも敵の実力は非常に強大で、もし矢崎粟の実力が強くなければ、矢崎家の人々だけでは敵の存在すら気付けなかっただろう。

矢崎泰は躊躇いながら尋ねた。「彼ら三人が過ごしてきたことで、矢崎美緒にかなりの運気を与えてしまったのではないでしょうか?」

三歳の時から矢崎美緒が矢崎家に入って以来、今まで十数年が経っている。矢崎粟の説明によると、彼女を可愛がることも運気を与えることになるという。

そうなると、今までにかなりの運気を与えてしまったことになる。

無意識のうちに与えたとはいえ、確かに与えてしまったのだ。

「彼女の身に起きたことを見てみなさい。すべてが順風満帆だったでしょう?彼女が常に幸運であり続けるということは、あなたたちが与えた運気が十分だということを意味します」と矢崎粟は当然のように言った。