呪術に巻き込まれて、彼はいつも不安を感じていた。
矢崎粟の命が危険にさらされることを恐れており、解けるものなら早めに解いておきたかった。
そうでないと、心が落ち着かない。
矢崎粟は少し考えてから、ノートにこう書いた。「この呪文は、おそらく呪いをかけた本人が解くか、その人が死ぬまで完全には解けないでしょう。強制的に解こうとすれば、双方とも反噬を受ける可能性があります。今は運気が私の方にあって、矢崎美緒の方は運気がどんどん悪くなっているので、急ぐ必要はありません。」
この呪文の恐ろしさは、まさにここにあった。
たとえ見破ったとしても、解除する方法がなく、強制的に解除すれば両者とも傷つくだけでなく、相手に警戒されてしまう可能性もある。
三人が書き込んでいる最中、外からドアベルの音が聞こえた。