213 天賦異稟

「ベテランの骨董品専門家が言った。『彼女は特別な才能を持っているんだ。ガラス越しに感じるだけで、骨董品の真贋を見分けられる。どうしようもないだろう?』」

本物の天才と比べると、打撃を受けたくないのに、何度も打撃を受けざるを得ない。

骨董品オークションの会場で、川上夕子はすべての人の注目の的だった。

「彼女がそんなに凄いなら、誰も何か問題があるんじゃないかと疑わなかったのですか?」矢崎粟は眉をひそめて尋ねた。

どんなに優れた骨董品専門家でも、骨董品を見る時は慎重に観察する必要がある。川上夕子のように、ガラス越しに感じるだけで骨董品の真贋を判断できる人がいるだろうか?

これは馬鹿げているのではないか?

「もちろん疑う人はいた。それもかなりの数だ」その専門家は頷きながらゆっくりと話を続けた。「告発した人もいたが、道家協会の人々が来て、調査した後で皆に告げた。川上夕子には何の問題もない、純粋な才能だと」