213 天賦異稟

「ベテランの骨董品専門家が言った。『彼女は特別な才能を持っているんだ。ガラス越しに感じるだけで、骨董品の真贋を見分けられる。どうしようもないだろう?』」

本物の天才と比べると、打撃を受けたくないのに、何度も打撃を受けざるを得ない。

骨董品オークションの会場で、川上夕子はすべての人の注目の的だった。

「彼女がそんなに凄いなら、誰も何か問題があるんじゃないかと疑わなかったのですか?」矢崎粟は眉をひそめて尋ねた。

どんなに優れた骨董品専門家でも、骨董品を見る時は慎重に観察する必要がある。川上夕子のように、ガラス越しに感じるだけで骨董品の真贋を判断できる人がいるだろうか?

これは馬鹿げているのではないか?

「もちろん疑う人はいた。それもかなりの数だ」その専門家は頷きながらゆっくりと話を続けた。「告発した人もいたが、道家協会の人々が来て、調査した後で皆に告げた。川上夕子には何の問題もない、純粋な才能だと」

そうなると、信じたくなくても信じざるを得なくなった。

道家協会にはそれなりの権威があるのだから。

矢崎粟は深く考え込んだ。道家協会から派遣された人々は川上夕子の問題に気付かなかったのか?それとも、協会の中に川上夕子を意図的に庇う人がいるのだろうか?

どちらの可能性もあるが、矢崎粟は誰かが意図的に川上夕子を庇っているという可能性の方が高いと考えていた。

どうやら、協会の中に川上夕子を守ろうとする人がいるようだ。

しかし、背後の人物がこの大きな計画を何年もかけて実行してきたのだから、道家協会に人脈があるのも当然だろう。

今回の骨董品オークションは、この10年で最も盛大なものとなり、巨大な会場が骨董品オークション会場として借り切られた。

骨董品愛好家たちが全国各地から集まってきた。

その中には、多くの外国人の姿も見られた。

オークション会場の入り口は人で溢れかえり、矢崎粟たちが入場するのにも30分近くかかった。

今回のオークションは、公開競売と密封入札の二つの形式で行われる。

公開競売は、文字通り骨董品を公開の場で競売にかけ、各自が欲しい骨董品の番号を覚えておき、競売が始まったら値段を上げていく。

最後に最高値をつけた者が落札する。