214 運に頼るだけ

先ほど小島一馬は矢崎粟の後ろについて歩きながら、彼女の真剣な様子を見て、矢崎粟の全身から魅力が溢れ出ているように感じた。

小島一馬の目が輝いた。

渡部悠人は首を振り、少し呆れた様子だった。

この義弟は、矢崎粟の話題になると、まるで脳のないファンのように、もう救いようがないと思った。

矢崎粟は頷いて、「はい、以前師匠から少し習ったことがあります。今回もこの機会に少し試してみたいと思います。まだ熟練とは言えませんが」と言った。

良いものが見つかれば運が良いし、本物の骨董品が一つも買えなくても、経験として楽しめばいいと思っていた。

渡部悠人は頷き、そのまま一行を先に進ませた。

すぐに、矢崎粟は川上夕子と出会った。彼女の後ろには大勢の人々が付いていた。

川上夕子は目と経験で判断せず、ガラスに手を当てて骨董品の気配を感じ取り、完全に運気に頼っていた。