川上燕は列の最後尾についていた。
矢崎粟の前を通り過ぎる時、川上燕は自然に歩きながら、素早く矢崎粟の指に触れ、矢崎粟は反応して、一本の髪の毛を受け取った。
二人の動きは自然で、誰も気付かなかった。
その後、川上燕はいつものように俯いて前に進み、川上夕子は最前列にいたため、二人の動きに気付くことはなかった。
矢崎粟は部屋に戻るとすぐに、スーツケースから金色のかかしを取り出し、かかしに生年月日を書き込んだ。
矢崎粟はその髪の毛をかかしに巻きつけた。
これらを済ませた後、朱砂を取り出し、かかしの四肢に朱砂で円を描き、呪文を書いた。
一分後、彼女はかかしをろうそくで火をつけ、特製の炉で燃やした。
すぐに、燃えるかかしから黒い煙が立ち上り、その煙は濃く、カビのような臭いを放った。