221 ゴミ

川上夕子は矢崎粟を見つめ、「私たち川上家のことは、あなたには一切関係ないわ。それに、これからの裏入札では二度と失敗はしないわ。私たち川上家は、これまでの損失を全て取り戻すから」と言った。

彼女は自信に満ち溢れていた。

午前中に骨董品を見ていた時、川上夕子はガラスケースの中に数点の価値の高い骨董品があることに気付いていた。それらの骨董品を手に入れさえすれば、表入札での損失を取り戻せるはずだった。

「そんなに自信があるなら、川上さんが選ぶ骨董品を楽しみに待っていましょうか?きっと皆を失望させることはないでしょうね」と矢崎粟は笑いながら言った。

渡部悠人も矢崎粟の考えを察し、「そうですね。私たち渡部家も川上家が裏入札でどのレベルの骨董品を落札できるか、楽しみにしています。きっと新たな輝かしい成果を上げられるでしょう!明日の結果が待ち遠しいですね!」と同調した。

渡部悠人も気付いていた。この川上夕子は今日、様子がおかしかった。

彼女は少し自信なさげで、平静を装っているようだった。

今回の表入札で、川上夕子は川上家の骨董品専門家の番号を使って入札していた。これは理解しがたい理由だった。

もし彼女にその実力があるなら、必ず自分で目立とうとするはずだ。

今回専門家に任せたということは、実力に問題が生じた可能性が高い。川上夕子が以前そんなに強い骨董品鑑定能力を持っていたのは、何か不正な手段を使っていたのかもしれない。

今はその能力が消え、ただ冷静を装っているだけなのだ。

傍らの矢崎粟はおそらく早くからそれを見抜いていて、だからこそずっと煽り続けていた。渡部悠人もそれを理解し、当然この機会を逃すわけにはいかず、川上夕子を神の座に祭り上げようとしていた。

川上夕子は今、高く上がれば上がるほど、より惨めに落ちることになるだろう。

周りの見物人たちも、次々と声を上げた。

「川上さんがそんなに自信があるなら、私たちも楽しみに待ちましょう。川上家がどれだけの五級骨董品を見出せるか!」

「川上さんがまた奇跡を起こすのを期待しています」

「きっと今回も、川上家は大儲けできるでしょうね!」

「川上家には川上さんがいるから、きっとまた奇跡を起こせるはずです」