223 濡れ衣を着せる

「自業自得よ。自分が不注意だったんだから」

「他人のせいじゃない。川上夕子が自分で入札を間違えただけだ」

「川上夕子の得意げな顔も見られなくなったね」

周りで見物していた人々は嘲笑いながら噂し合い、顔には他人の不幸を喜ぶ表情が浮かんでいた。

川上夕子は傲慢な振る舞いで多くの敵を作っており、評判が悪いことは周知の事実だった。

矢崎粟は群衆の後ろに立ち、周りの人々の噂話を聞きながら、内心驚いていた。運気の変化が午前の入札にまで影響を及ぼすとは思わなかった。

入札書がこんなに汚れて、しかも一、二個の数字が見えなくなるなんて、本当に運が悪い。

矢崎粟は単に川上夕子の身についていた、本来彼女のものではない運気を全て川上燕に返しただけで、入札書には手を加えていなかった。

今このような状況になったのは、川上夕子が以前あまりにも容赦なく、他人に生きる道を残さなかったことへの報いとしか言えない。そうでなければ、こんな事態にはならなかったはずだ。