224 警察を呼ぶ

川上夕子は皆の視線が変わったのを見て、もはやそんなことは気にしていられなくなり、思い切って脅すように言った。「矢崎粟、妹を返さないなら警察に通報するわよ。そうなったら、簡単には済まないわ」

今すぐ妹を返せば、矢崎粟を見逃してやるという意味だった。

矢崎粟は嘲笑うように言った。「通報すればいいわ!もし本当に妹さんが行方不明なら、早く通報して、捜索のゴールデンタイムを逃さないようにね」

彼女の言葉は堂々としており、それによって川上夕子がより一層道化のように見えた。

もし川上夕子が本当に警察に通報しても、矢崎粟は川上燕に警察側に状況を説明させるつもりだった。川上燕が自分の意思で出て行ったのだと。

今や川上燕は成人しており、川上夕子には彼女を管理する資格はない。

この時、矢崎粟の服には宝石がはめ込まれたブローチが付いていた。その宝石の中には小型カメラが仕込まれており、今起きていることすべてを記録し、川上燕に中継していた。