237 さらに不運

矢崎粟は言った。「その通り、あなたは矢崎若菜より不運ね。他人の厄運を防いでいるからよ。今回防いだことで、矢崎若菜は三日間不運から逃れられるわ」

厄運は影も形もなく、一度やってくると止められない。

矢崎弘は自発的ではなかったが、矢崎若菜が符紙を持っている限り、彼女の厄運を背負わなければならなかった。

「たった三日間助けただけなのに!」

矢崎弘は不満げに舌打ちをした。麻酔が切れ、足には刺すような痛みが残っていた。「このまま彼女の厄運を防ぎ続けたら、不運で死んでしまうんじゃないか?」

一度で骨折と脳震盪。次に不運が来たら、命が半分なくなってしまうのではないか?

「命まではないでしょうけど、病院通いは確実ね」矢崎粟は笑みを浮かべた。

矢崎弘は痛みに耐えられず、泣きそうな顔で尋ねた。「粟、法器をくれないか。本当に怖いんだ」