233 法器を彫る

【本当に、あなたたち二人は兄弟で、血のつながりがあるから、符紙は彼の厄除けにもなるわ。】矢崎粟が返信した。

矢崎弘は理解し、すぐに尋ねた:【じゃあ、もう一枚符紙を買えますか?今は符紙を持っていないので、なんだか不安で。】

あの一枚は矢崎若菜に盗まれたのだから、仕方がない。彼にあげたと思うことにしよう。

彼がそう尋ねると、矢崎粟は意味深に聞いた:【本当に新しい一枚を買うだけで、あなたの符紙を取り戻すつもりはないの?】

この質問を聞いて、矢崎弘は何か違和感を覚えた。

【何か違いがあるんですか?】矢崎弘は尋ねた。

もしかして、新しい符紙を買っても効果がないのだろうか?

矢崎粟は返信した、【今、彼があなたの符紙を持っているということは、あなたが彼の厄を背負うことになるということよ。今、不運に見舞われているのはあなたで、新しい符紙を買っても無駄なの。】

この言葉を見て、矢崎弘は我慢できなくなり、小声で呟いた。「今すぐ矢崎若菜をぶん殴りたい。人を害する奴め!」

矢野常は矢崎粟の返信を見て、思わず笑い出した。「君の弟は本当に兄をだますのが上手いね。厄を君に移すなんて、面白いじゃないか!」

落ち着いている矢崎泰までもが、小さく笑った。

誰がこんな結果になるとは思っただろうか。

矢崎弘は頭を叩きながら、やっと気づいて言った。「今日の午後からずっと不運だと思ったら、そういうことだったのか!」

今日、車で外出した時、マンションを出たところで汚水をかけられた。

夜の食事では、皿の中に大きなゴキブリが出てきた。店長でさえそのゴキブリがどこから来たのか分からず、店には今までゴキブリなど出たことがないと主張した。

道を歩いていると、上の階から花瓶が落ちてきて頭に当たった。

矢崎弘は脳震盪を起こすところだった。道端で倒れ、幸い通行人が病院に運んでくれた。

まさか全て矢崎若菜のせいだったとは思いもしなかった。

矢崎弘は座っていられなくなり、すぐに尋ねた:【粟、じゃあ今どうすればいいの?どうすれば厄を除けられる?】

矢崎弘は矢崎若菜の代わりに厄を背負いたくなかった。

矢崎若菜が不運に見舞われるのは当然のことだが、自分は不運に巻き込まれただけだった。