290 服を売る

翌日、みんなはいつも通りに起床し、階下で朝食を食べに行った。

みんなは、昨日の出来事があったにもかかわらず、矢崎美緒が相変わらず生き生きとしており、何事もなかったかのように振る舞っていることに気づいた。

矢崎若菜は元気がなく、大きな隈を作り、服装もだらしなく、まったく精気がなかった。

やはり、矢崎美緒のメンタルは強い。

そうでなければ、どうやって矢崎若菜の運気を借り、みんなの目の前で策を弄ぶことができただろうか?

みんなが食事を終えた後、三組に分かれてお金を稼ぎに行った。

小島一馬は昨日店員をしていた時に求人情報を聞きつけており、あるアパレルショップが人を募集していた。

服一着売れるごとにコミッションがあり、売れば売るほど報酬が増え、基本給は一日三百元だった。

たとえ話術が下手でも、基本給だけで一日の出費は賄える。

そのため、アパレルショップの店員は良い選択肢で、小島一馬は残りの三人を見て、待遇について説明した。

矢崎若菜はすぐに反対した。「また店?私は店員になると人だかりができると思う。ファンが服屋の周りの交通を妨げることになる。今日は別のことをしましょう。」

昨日あれほど恥ずかしい思いをしたのだから、店員になれば、また噂話をされるに違いない。彼は行きたくなかった。

「人だかりができても、それはあなた一人のことで、私たちには関係ない。私たちは真面目に仕事ができる」と小島一馬は冷たく言った。

「それはそうよ。私にはファンが多いから、人が集まるのは当然でしょう!」矢崎若菜は言葉の真意を理解せず、傲慢に言った。

以前はどこに行ってもファンがサインを求めてきたが、そんな状況はもう長い間なかった。

番組では、ほとんどのファンが矢崎粟にサインを求めていた。

森田輝はそれを聞いて、思わず口を開いた。「小島一馬さんのファンはあなたの何倍もいるのに、彼は店員になれるのに、あなたはなぜできないの?そんなに贅沢なの?」

彼女は矢崎若菜の考え方が本当に理解できなかった。これもダメ、あれもダメ、矢崎若菜はなぜこんなに問題が多いのか?

まだ飢えが足りないのだ。

お金がなくなって行き詰まれば、一つの仕事のチャンスがどれほど貴重かわかるだろう。