291 差別待遇

店長は中年の女性で、彼らの来意を知ると、にこにこと笑って言った。「いいわよ。いつもあなたたちの番組を見ているわ。歓迎するわ」

「ありがとうございます」小島一馬は笑顔で答えた。

店長は少し残念そうに言った。「残念ね、今回は粟ちゃんがあなたと同じグループじゃないから、お店に来られないわ」

番組の中で、彼女が一番好きなのは矢崎粟と小島一馬で、二人とも容姿が優れていて、人当たりが良く、能力もある。

森田輝と伊藤卓の印象も悪くない。

小島一馬もうなずいた。「僕も粟と同じグループになりたかったんですが、残念ながら抽選でそうはなりませんでした」

今、矢崎若菜と矢崎美緒に出会って、この二人は本当に面倒だ。

店長は笑みを浮かべながら言った。「時間があったら粟ちゃんをお店に連れてきてね。粟ちゃんのために特製の服をいくつか取っておいたの。きっと似合うわ」

店長の隠すことのない好意に、小島一馬も約束した。「今日の仕事が終わって、他に用事がなければ、粟を連れて服を試着しに来ます」

今は一人一着しか服がなく、着替えもないので、粟が来たら、いくつか着替え用に選べる。

小島一馬が承諾すると、店長はさらに喜んだ。

彼女は小島一馬と森田輝を引っ張って、店内の棚から二人にそれぞれ一着の服を選び、アクセサリーもコーディネートした。

店長はにこにこしながら二人に着替えを促した。

ここの店員は皆、店の服を着なければならない。そうすることで服の効果を見せることができる。

矢崎美緒は二人が着替えに行き、店長が暇になったのを見て、近寄って尋ねた。「店長、私たち二人にも服をコーディネートしてください!」

しかし、店長は表情を冷たくして言った。「店員に従業員用クローゼットから服を選ばせます」

そう言って、女性店員を一人呼び出した。

矢崎若菜は顔を赤らめ、差別待遇を受けたことを悟った。

しかし、なぜどこに行っても嫌われるのか、なぜみんなが自分をこんな風に扱うのか理解できなかった。

店長は矢崎美緒と矢崎若菜のコーディネートを手伝いたくなかった。番組の中で、この二人が一番嫌いだった。

見るだけでうんざりする。

グループ全体に迷惑がかかることを恐れ、小島一馬が困ることを心配しなければ、矢崎美緒たち二人を雇いたくもなかった。