303 悪だくみ

「芸能界で一番嫌いな人は矢崎美緒だと宣言します!」

「矢崎美緒が番組を降板!」

「矢崎美緒は計算高い女!」

次々と流れるコメントは、視聴者たちの怒りを表していた。

チーム変更の件は、最初から矢崎美緒が事を荒立てたのだ。小島一馬がグループで既にメッセージを送っていたのだから、排除なんて全然当てはまらない。

矢崎美緒の言葉は、一部の視聴者さえも誤解させかけた。

この部分の視聴者は、今になって真相を理解し、矢崎美緒への嫌悪感がさらに一段階上がった。

元々は単なる嫌悪感だったのが、今では番組から去ってほしいと思うほどになっていた。

視聴者たちは心の中の不快感をすべてコメントで発散し、矢崎美緒の個人アカウントにも同様だった。

その時、海外のとある島で。

ビーチで、矢崎泰は日光浴を楽しみながら、サイドテーブルに置かれた朝食を前にしていた。

矢崎泰の隣で、矢崎弘がデッキチェアに座り、深刻な表情で携帯の生配信を見ていた。

矢崎弘はコメントを開き、視聴者の評価をリアルタイムで確認しようとした。

コメント欄には矢崎美緒を罵る言葉が溢れ、その合間に彼ら兄弟を嘲笑う言葉も混ざっていた。

矢崎弘は眉をひそめ、不満げに言った。「あいつらが矢崎美緒を罵るのはいいけど、なんで俺たち兄弟まで巻き込むんだよ。うんざりだ。」

コメントが流れていく中、数秒おきに矢崎家の兄たちを嘲笑う人がいた。

悔しくて、恥ずかしくて仕方がなかった。

最も重要なのは、矢崎弘には反論の余地が全くないということだった。

彼ら兄弟は確かに矢崎美緒に翻弄されていたのだ。

矢崎泰は笑って慰めた。「もう少しの辛抱だよ。父が矢崎美緒と絶縁することを考えているって聞いたんだ。予想通りなら、すぐに矢崎美緒から解放されるさ。」

長男として、彼は情報通だった。

矢崎正宗が養子縁組解消の方法を調べるため、わざわざ弁護士に相談したとも聞いていた。

矢崎弘は深いため息をつき、「俺は今、キャリアの底にいる。会社さえも俺を戻したがらない。昨日、岡本副社長から電話があって、しばらく会社に戻らなくていい、外で旅行でもしてろって暗に言われたよ。」

ここまで話して、矢崎弘はさらに怒りを募らせた。