307 馬を選ぶ

皆は時間を無駄にせず、馬選び場へと足早に向かった。

ここの馬は一頭一頭が逞しく、気性も荒い。もし気の荒い馬を選んで手なずけられなければ、選び直さなければならない。

馬選び場に着くと、小島一馬は馬を見ずに、期待に満ちた表情で矢崎粟を見つめた。「粟、僕の分も馬を選んでくれないかな?」

矢崎粟は「選べないの?」と尋ねた。

現場には多くの馬がいて、目移りしやすい。一般の人なら本当に分からないかもしれない。

小島一馬は笑顔で「僕は粟の実力を信じているんだ。粟が選んでくれる馬は、きっと最高の馬だと思うから」と言った。

「いいわ、選んであげる」矢崎粟は頷いて承諾し、目の前の馬たちを一頭ずつ見渡した。

小島一馬は目を輝かせ、矢崎粟の動きを目で追いながら、恋する表情を浮かべていた。