293 知人に出会う

二人は服を選び、スタッフルームから出てきて、メイクアップアーティストが二人のメイクを始めた。

心の中では二人を見下していたものの、彼らを困らせることはせず、二人が選んだ服に合わせて適切なメイクを施した。さらにアクセサリーも選んでやり、それなりの見栄えになった。

二人が階下に降りると、小島一馬と森田輝が麗子の傍らに立ち、体型に合わせた服の選び方について質問しているところだった。

麗子は一つ一つ丁寧に答え、とても辛抱強かった。

森田輝は生地についても質問し、麗子はそれにも全て答え、さらに店の看板商品であるセットアップをいくつか重点的に紹介した。

同時に、麗子は二人に客の見分け方のコツも教え、購買意欲があるかどうかを見極める方法を伝授した。

最後に、麗子は値引き交渉への対応方法を教えた。

森田輝と小島一馬は多くを学び、自信もついてきた。

矢崎美緒と矢崎若菜も少し聞いていたが、そこまで詳しく知る必要はないと考え、この仕事に就くつもりもないので、二人とも聞き流した。

小島一馬と森田輝が十分に理解したころ、開店時間となり、店のドアが開くと多くの人々が店内に押し寄せてきた。

ほとんどの人が小島一馬と森田輝目当てだった。

小島一馬は急いで仕事に取り掛かり、客に適切なセットアップを勧め、森田輝は横で服を手渡し、客を試着室へ案内した。二人の連携は見事だった。

あっという間に、何人もの客が試着をしに行った。

矢崎美緒はそれを見て、隣の矢崎若菜に言った。「私たちも客を呼び込みましょう。今日は客が多いわ。」

「いいよ、行こう」と矢崎若菜は面倒くさそうに答えた。

彼は今は番組が早く終わることだけを願っており、仕事への意欲は全くなかった。どうせファンもほとんど離れてしまったのだから。

客が来ると、矢崎若菜は適当に服を選んで、客に試着を勧めた。

客は満足できず、もっと新しいコーディネートはないかと尋ねたが、矢崎若菜は分からないと言うだけで、客は首を振って去っていった。

そのうち、矢崎若菜に服を選んでもらおうとする客はいなくなった。

矢崎若菜もそれを幸いに、店内をぶらぶら歩き回り、来店客を眺めながら何かを考えているようだった。

一方、矢崎美緒は正反対で、客を捕まえては猛烈に服を売り込んだ。