321 運気が流れ続ける

主催者側は医療費の支出に責任を負わず、この事件についても一切の責任を負いません。

矢崎美緒は主催者側の発表を聞き終わると、大股で歩み寄り、「納得できません。これは明らかにあなたたちの会場で起きた事故で、試合もあなたたちが主催したものなのに、どうして一切責任がないと言えるのですか?」

主催者側はスーツを着た男性を派遣し、矢崎美緒と交渉させました。

彼は皆に弁護士証を見せ、自己紹介をしました。主催者側の法務担当、澤田彰人でした。

続いて、澤田は矢崎美緒と矢崎若菜が署名した安全責任誓約書を手に取りました。

「誓約書には明確に記載されており、お二人とも署名されています。矢崎さんもご記憶のはずですよね?」弁護士は微笑みながら言いました。

矢崎美緒は深く息を吸い込み、なお強情に言い返しました。「それがどうしたというのです?」