311 3倍の運気吸収

決勝戦で、矢崎美緒のチームはより一層凶暴になっていた。

矢崎美緒は密かに小細工を使って、矢崎粟たちを怪我させようとしたが、すべて回避された。

矢崎美緒のチームの隊長は力が非常に強かった。

彼は常に馬に乗って、場内の相手に向かって突進し、相手を脇へ押しやり、川上浩氏と澤田昇の二人は何度も危うくぶつかりそうになった。

もし一度でもぶつかれば、二人は馬から落ちる可能性が高く、結果はより深刻になっただろう。

他のメンバーも同じような状況に遭遇したが、彼らは機転を利かせて、巧みな策を用いた。

相手の思い通りにはならず、逆に相手が競技場から落ちそうになった。

相手が突進してきた瞬間、矢崎粟は馬を横に避け、相手を空振りさせた。

そして、矢崎粟は素早く弓を射って、チームに得点をもたらした。

最も危機的な状況は、相手の三人が包囲して逃げ場をふさごうとした時だった。

しかし藤田川は馬を駆って、三人の頭上を飛び越えて包囲を突破した。

この一連の攻防の後、相手チームは各メンバーの実力の差を見抜き、川上浩氏と澤田昇を狙い始めた。

そして矢崎美緒は田中凛を標的にすることを決めた。

彼女たちは双子の姉妹なのに、田中凛は彼女を助けるどころか、矢崎粟側に立って常に対立していた。このことが矢崎美緒の心に長年の怨みを積み重ねていた。

矢崎美緒は決意した。田中凛を場外に追い出し、最初に退場させてやると。

田中凛も矢崎美緒を嫌っていた。

彼女は矢崎美緒が突進してくるのを見ても全く恐れず、直接馬を駆って立ち向かった。

矢崎美緒は手段を選ばず目的を達成しようとする、それが田中凛が最も嫌う人間のタイプだった。

田中凛も遠慮する気はなく、心の中で必ずチームに得点をもたらすと固く決意した。

二人は馬を駆り、的を奪い合い、矢を射る精度もほぼ同じだった。

二人は何個もの的を争ったが、まだ勝負がつかず、得点も互角のままだった。

矢崎美緒の心はますます焦り、目つきもますます冷たくなっていった。

田中凛との戦いだけで多くの時間を費やしてしまい、これ以上引き延ばすわけにはいかなかった。

今の進行は遅すぎる。後で矢崎粟と対決して、しっかりと勝負をつけなければならない。これ以上田中凛と競り合っている場合ではなかった。