矢崎弘は気持ちを落ち着かせ、四男に電話をかけ、矢崎若菜の状態をすぐに知らせるよう頼んだ。
矢崎政氏は電話に出て、診断結果が出たらすぐに連絡すると約束した。
電話を切った後、矢崎弘の心はようやく少し落ち着いた。
彼は嫌悪感を込めて言った。「父と相談しましょう。矢崎家は養子縁組を解消することを検討できます。矢崎美緒は成人していて、自活能力もあります。」
今日まで、彼は矢崎美緒にただ失望していただけだったが、今日の出来事の後、彼は矢崎美緒に強い嫌悪感を抱いた。
矢崎美緒が早く家を追い出されることを願った。
一方。
ホテルのスイートルームで。
小林美登里も矢崎若菜が馬の蹄の前に押し出された場面を見て、怒り心頭で、矢崎若菜の怪我を非常に心配していた。
「私たちは矢崎美緒を何年も育ててきたのに、彼女のこの仕打ちは恩を仇で返すようなものだ!」矢崎正宗は冷たい声で言った。
矢崎家は矢崎美緒を孤児院から引き取り、裕福な生活を与えたのに、彼女は兄を危険な目に遭わせた。あまりにも非情だった。
続いて、矢崎正宗も矢崎政氏に電話をかけた。
彼は矢崎政氏に常に連絡を取り、病院で矢崎若菜をしっかり看病するよう伝えた。
これらを済ませた後、矢崎正宗は秘書に電話をかけ、午後の帰国便のチケットを2枚購入するよう指示した。
息子がこれほどの重傷を負ったのだから、当然帰って様子を見なければならない。
全てを済ませた後、矢崎正宗は怒りを込めて小林美登里を見つめ、「私が言った通りだろう!この矢崎美緒は全く分別がない。良心もないやつだ。兄を馬の蹄の前に引っ張り出すなんて、もう矢崎家に置いておくわけにはいかない。」
少し間を置いて、彼は続けた。「今日帰国したら、すぐに養子縁組解消の手続きをする。息子たちには今後矢崎美緒に近づくことを禁じる。」
矢崎正宗は家主として長年、物事を迅速に処理してきた。
ただ矢崎美緒の件に関しては、小林美登里の懇願で特別に目をつぶってきた。
しかし実の息子を傷つけることになるとは思わなかった。
小林美登里は涙を流しながら答えた。「分かりました。帰国したら時間を作って手続きをし、矢崎美緒にお金を渡して、もう二度と矢崎家に戻ってこないようにします。」
これで情けは尽くしたと言えるだろう。