矢崎美緒は矢野常に対して何も悪いことをしていないと思っていたので、きっと矢崎粟のせいに違いない!
そうでなければ、彼女の運気がこんなに早く失われることもなく、次兄と四男も突然冷たくなることもなく、三男も彼女に失望することもなかったはずだ。
すべての原因は、憎らしい矢崎粟にある。
矢崎粟がこの世から消えてくれれば、すべてが元通りになるのに。
矢崎粟は矢崎美緒の目に宿る悪意と、その殺意の片鱗を見逃さなかった。
予想通り、矢崎美緒は次に彼女に手を出すつもりだろう。
しかし矢崎粟は少しも怖くなかった。
矢崎美緒の運気は何度も流出し、今や運気は薄れており、これからますます不運になっていくだろう。
矢崎粟は視線を戻し、皆に向かって言った。「行きましょう、病院へ」
矢崎粟が「病院へ」と言い終わると、全員が動き出した。自分が言った時の皆の冷ややかな反応を思い出し、矢崎美緒は怒りと憎しみで胸が一杯になった。