337 また不運が始まる

老人の告発を聞いた管理人は、仕方なく二人の玄学師を派遣し、まず病院で患者の状態を確認させることにした。

そこで、矢崎昌氏は丁寧に二人の玄学大師を案内した。

二人の玄学大師は道家協会に所属しており、玄学レベルは共に高かった。

一人は灰色の長衣を着た体格のいい男で、竜田道士と呼ばれていた。もう一人は張という姓で、冷たい表情をし、青い道服を着ていた。

馬車に乗ってからすぐに、三人は病院に到着した。

矢崎昌氏は先導しながら、笑顔で「お二人の道士様、もう少しで病室に着きます」と言った。

病室のドアは半開きだった。

三人が病室に入る前に、廊下で苦痛に満ちた呻き声が聞こえた。矢崎昌氏はそれが矢崎若菜の声だと分かった。

彼は足早に進み、ドアを開けた。

まず二人の医師の後ろ姿が目に入った。医師たちは忙しく働いていた。

矢崎昌氏は不吉な予感を感じながら、さらに数歩進んで尋ねた。「何があったんだ?どうしてまた医師を呼んだんだ?」

矢崎若菜の顔を見た時、矢崎昌氏は足を止め、眉をひそめた。

矢崎若菜はベッドで苦しそうに横たわり、体を小刻みに震わせ、ベッドの手すりを強く握りしめていた。彼の顔には大きな赤い腫れが出来ていた。

二人の医師は鉗子を使って、矢崎若菜の顔の腫れを処置していた。

夏目蓮は夫が戻ってきたのを見てようやく安心し、急いで説明した。「本当に運が悪くて。あなたが出かけてすぐ、看護師が病室の換気をしようと窓を開けたんです。窓を開けた途端、大きなスズメバチが外から飛んできて、若菜の顔を刺したんです。」

五階の窓からスズメバチが入ってくるなんて、誰が想像できただろうか?

それも하필 矢崎若菜を刺すなんて!

夏目蓮は一旦言葉を切り、続けた。「スズメバチに刺されて、毒針も顔に残ってしまったので、救急科を受診して、医師に処置してもらっているところです。」

麻酔が切れ始め、矢崎若菜の体は徐々に痛みを感じ始めた。

肋骨の辺りは誰かに強く引き裂かれるような痛みがあり、足も感覚がなくなるほど痛かった。

しかし体中で最も辛いのは顔で、痛みと痒みが混じり、医師が傷の処置をする度に刺された箇所に触れられた。

病室の窓から飛び降りて死んでしまいたいと思うほどだった。