336 矢崎粟のために腹を立てる

矢崎粟と藤田川は目を合わせ、一緒に退出の挨拶をした。

病室を出ると、矢崎粟は口を開いた。「先輩、お祓いをしたくないのは、矢崎美緒に苦しんでほしくないからですか?」

藤田川は一瞬驚いて、笑いながら言った。「そんなはずないでしょう?」

「では、先輩はどういうお考えなのですか?」矢崎粟は尋ねた。

二人とも玄学師であり、矢崎粟は当然気づいていた。藤田川は本当に時間がないわけではなく、矢崎若菜のためのお祓いをしたくないのだと。

その理由を、矢崎粟はとても知りたかった。

藤田川は笑いながら首を振った。「妹よ、私はあなたの代わりに仕返ししているんですよ。あなたは矢崎若菜が嫌いでしょう?厄運を解除しなければ、彼女はもっと苦しむことになりますからね。」

二人は馬車を呼び、一緒にホテルへ戻った。