361 弁解の余地なし

吉野誉司と竜田敢は中華街で知り合ったが、竜田敢の殺人と埋体は二人が知り合う前のことだった。

竜田敢は、庭の死体は二人で殺したと断固として主張した。

吉野誉司は弁解のしようがなく、ただ怒りの目で竜田敢を見つめるしかなかった。

誘拐された人々全員を救出した後、警察は関係者以外を全て庭から追い出し、現場に規制線を張った。

吉野誉司ら三人はパトカーで連行された。

三人が車に押し込まれるのを見ながら、矢野常は道端に立ち、表情は重かった。

彼は、従兄がこれほど多くの悪事を働いていたとは思いもよらなかった。そして矢野家は吉野誉司の後ろ盾として、同様に過ちを犯していた。

矢野常は、母がこのことを知っているのかどうか考えを巡らせた。

もし母がずっと知っていて、なお従兄のこうした行為を容認していたのなら、母は表面上見えるほど慈悲深くはないということだ。

生配信を見ていた澤蘭子も、心の中で驚いた。

彼女は甥が集団暴行を好み、ひき逃げを繰り返し、美女に手を出すのを知っていたが、まさか人を殺して埋めるとは思いもよらなかった。

この時、澤蘭子はついに座っていられなくなり、パッと立ち上がった。もし甥が有罪判決を受ければ、叔母である彼女もネットユーザーから非難されるだろう。

あの上流婦人たちの社交界でも、さらに軽蔑され排除されるに違いない。

澤蘭子は焦りに焦り、リビングを行ったり来たりした。

同時に、彼女は矢崎粟をより一層憎むようになった。

澤蘭子は深いため息をつき、再び携帯を手に取って生配信を見た。

画面では、矢野常が連行される吉野誉司ら三人を見つめており、その表情は極めて冷静だった。

澤蘭子はさらに血を吐きそうなほど怒った。

中華街で、彼女の実の息子は終始矢崎粟の指示に従い、矢崎粟の側に立ち、従兄が逮捕されるのを見ても全く動じなかった。

「本当にろくでなしね!」澤蘭子は画面の息子を見ながら罵り、やっと少し気が収まった。

そのとき、彼女の携帯画面に、トレンド記事の通知が表示された。

見出しは人目を引くもので、『東京の名門矢野夫人の甥、殺人や人身売買など悪事の限りを尽くす』というものだった。

澤蘭子は心臓が飛び出しそうになり、記事を開いた。