361 弁解の余地なし

吉野誉司と竜田敢は中華街で知り合ったが、竜田敢の殺人と埋体は二人が知り合う前のことだった。

竜田敢は、庭の死体は二人で殺したと断固として主張した。

吉野誉司は弁解のしようがなく、ただ怒りの目で竜田敢を見つめるしかなかった。

誘拐された人々全員を救出した後、警察は関係者以外を全て庭から追い出し、現場に規制線を張った。

吉野誉司ら三人はパトカーで連行された。

三人が車に押し込まれるのを見ながら、矢野常は道端に立ち、表情は重かった。

彼は、従兄がこれほど多くの悪事を働いていたとは思いもよらなかった。そして矢野家は吉野誉司の後ろ盾として、同様に過ちを犯していた。

矢野常は、母がこのことを知っているのかどうか考えを巡らせた。

もし母がずっと知っていて、なお従兄のこうした行為を容認していたのなら、母は表面上見えるほど慈悲深くはないということだ。