360 死体を掘り出した

普段、吉野誉司は外出する度に玄関を施錠し、誰かを庭に残して見張りをさせていた。

だから、吉野誉司が戻ってこない限り、この男は外に出られないのだ。

この男の言葉を聞いて、周りの群衆は、ここが三人の巣窟であることを再確認した。

矢崎粟は川上孝史の方を向いて言った。「警察官、最後の部屋に人身売買された女性と子供たちが隠されています。」

この言葉を聞いた痩せた男は、驚いて数歩後ずさりした。

彼はようやく吉野誉司の後ろにいる警察官に気付いた。

彼は反射的に逃げ出そうとした。ちょうど庭の塀が低い場所があり、そこから逃げられると思った。

「彼を取り押さえろ!」川上孝史は冷たい声で命じた。

群衆の中から警察官が飛び出し、痩せた男の脚を蹴り、すぐに手錠をかけた。

川上孝史は他の者を連れて最後の部屋の前に行った。ドアには鍵がかかっていたので、彼は一蹴りでドアを蹴破った。

ドアが開くと、中で縛られた子供たちと女性たちが見えた。

彼らの口はテープで塞がれており、部屋には不快な臭いが漂っていた。

子供たちは川上孝史の警察官の制服を見て、目を輝かせ、必死に体を動かした。女性たちは恐れて目を閉じた。

カメラマンもカメラを部屋の中に向け、配信視聴者たちにも状況を見せた。

すぐに配信のコメントが飛ぶように流れ始めた。

【この三人は人間じゃない!】

【あんなに小さな子供、3歳くらいに見えるのに、可哀想すぎる。】

【粟が警察を連れてきて本当に良かった。でなければ、この子たちは全員犠牲になっていた。】

【女性たちも可哀想、鞭で打たれた跡まである!】

【こいつら死んでしまえ!】

【必ずこの子たちの両親を見つけてあげて、お願い。】

警察官たちはすぐに中に入って子供たちの縄を解き、女性警官が女性たちの服を整え、外に連れ出した。

この子供たちの中で、最年少は3歳で、最年長は8歳で、自分の家の住所を言えた。

警察の丁寧な質問に、子供たちは次々と話し始めた。

彼らは全国各地から連れて来られたのだった。

人身売買犯たちは乗り合いバンを使い、特に学校の近くで待ち伏せし、一人で下校する子供たちを追跡して、直接車に連れ込んでいた。

おそらく監視カメラを避けていたため、保護者たちには見つけられなかったのだろう。