普段、吉野誉司は外出する度に玄関を施錠し、誰かを庭に残して見張りをさせていた。
だから、吉野誉司が戻ってこない限り、この男は外に出られないのだ。
この男の言葉を聞いて、周りの群衆は、ここが三人の巣窟であることを再確認した。
矢崎粟は川上孝史の方を向いて言った。「警察官、最後の部屋に人身売買された女性と子供たちが隠されています。」
この言葉を聞いた痩せた男は、驚いて数歩後ずさりした。
彼はようやく吉野誉司の後ろにいる警察官に気付いた。
彼は反射的に逃げ出そうとした。ちょうど庭の塀が低い場所があり、そこから逃げられると思った。
「彼を取り押さえろ!」川上孝史は冷たい声で命じた。
群衆の中から警察官が飛び出し、痩せた男の脚を蹴り、すぐに手錠をかけた。
川上孝史は他の者を連れて最後の部屋の前に行った。ドアには鍵がかかっていたので、彼は一蹴りでドアを蹴破った。