矢崎正宗はベッドの横に座り、小林美登里が電話でぺちゃくちゃと話しているのを聞いて、彼女の表情を見ただけで何か様子がおかしいと感じていた。
今、小林美登里の言葉を聞き終わった矢崎正宗は、さらに怒って小林美登里を指差しながら、「何を言っているんだ?」と声を上げた。
ベッドの上で、矢崎若菜も複雑な表情で小林美登里を見つめ、目には信じられない思いが浮かんでいた。
彼は母親が何を考えているのか分からなかった。殺人犯の保釈を父親に頼むなんて!
このことが外部に知られたら、矢崎家の株価は必ず大暴落するだろう。
このような火に油を注ぐような行為は、バカでもしないのに、なぜ小林美登里はこんなにも当然のように提案したのだろうか?
矢崎正宗は深く息を吸い、冷静さを取り戻した。
彼は説明を始めた。「粟はそんな人間じゃない。人の一方的な話だけを聞かないで、まず状況をよく理解してから判断してくれ。」