358 誹謗

矢野常は冷たい目で彼を見つめ、口を開いた。「この二人が殺人犯だと分かった以上、簡単に解放するわけにはいかない。警察の捜査を待とう」

彼は母方の祖父の一族のやり方を常に嫌悪していた。

しかし母親はずっと甘やかし続け、何か問題が起きても金で解決するだけだった。

矢野常は矢崎粟の中での自分のイメージを壊したくなかった。だから彼はこの連中とは違う人間だということを示さなければならず、それがこの二人を警察に引き渡すと主張する理由だった。

吉野誉司は怒りで跳び上がりそうになった。この二人は彼が呼んだものだが、矢野夫人の指示でもあった。

もし何か問題が発覚すれば、矢野家の御曹司である矢野常にも影響が及ぶはずだった。

なぜ矢野常は融通が利かないのか?本当に母親が困るのを見たいのだろうか?