391 矢崎粟に警告

三十分後、矢野寿は助手から一通の電子メールを受け取った。

資料を確認すると、口座の所有者は呪術を得意とする人物だと分かった。

資料には詳しく書かれていた。彼は南西地方で有名な呪術王だが、その行動様式は地元の人々に嫌われていた。

誰もが知っていた。彼は金持ちのために悪事を働くことが多いということを。

民間では、南西の呪術王が南西地方全体を混乱に陥れ、大きな動揺をもたらすという噂が広がっていた。

矢野寿は資料を読み終えると、不吉な予感を感じた。

しかし、完全には確信が持てなかった。

そこで、とりあえず矢野常に電話をかけ、母親をよく見ていて、罪のない人々を害することがないよう注意するように伝えた。

同時に、矢野寿は自分の推測を話した。

澤蘭子が呪術師を探したのは矢崎粟に対抗するためで、すでに行動を起こしているのではないかと疑っていた。