401 もう外出しない

彼女は憎々しく思った。これは間違いなく矢崎粟の仕業に違いない。

矢崎美緒は竜田実子を見つめ、確信を持って尋ねた。「矢崎粟が呪術を解いたのね?」

竜田実子は彼女に警告した。「今はあなた自身が危ない状態よ。知ったところで何になるの?しばらくの間は、庭で大人しくしていなさい。どこにも行かないで。そうしないと、あなたに残されたわずかな運気も消耗してしまうわ!」

矢崎美緒は全く人を安心させない。

もし彼女がまた勝手に出歩くようなら、竜田実子は強制的な手段を使って、どこにも行けないようにすることも厭わない。

矢崎美緒はそれを聞いて、少し呆然とした。

確かに彼女は自身の身も危うい状態だった。

今の彼女にできることは、恨みを心の中に秘めておくことだけだった。

竜田実子が見つめているのに気づき、矢崎美緒は頷いて言った。「もう外出しないと約束します。竜田おばさん、ご心配なく」

今の彼女の姿は、まるでお婆さんのようだった。

もし記者に撮られでもしたら、芸能界の大スキャンダルになり、彼女のキャリアも一瞬で終わってしまう。

年老いて醜い女優など、誰も好まないのだから。

一方その頃。

病室で、矢崎粟はテーブルの上の二本のろうそくを吹き消し、ろうそくの台座から符紙を剥がした。

符紙が剥がされた瞬間、自然と灰になって消えた。

藤田川も動きを止め、傍らに立っていた。

彼は矢崎若菜の頭上を見た。そこには一筋の煙が流れ込んでおり、長く白く濃かった。

しばらくすると、煙は完全に消えた。

矢崎若菜は目を閉じ、この不思議な感覚を味わっていた。何かが体内に戻ってきたような気がした。

この感覚は心地よかった。

皆の視線を感じ取り、目を開けて藤田川に向かって言った。「藤田大師、私と矢崎美緒の間の呪術は無事解けましたか?」

藤田川は頷いた。「解けました。あなたの運気は半分戻りました。これからはここ数日のような不運は続きませんが、時々は悪いことも起こるでしょう」

矢崎若菜は一瞬戸惑い、尋ねた。「半分だけですか?」

残りの半分はどこへ行ったのだろう?

全部戻ってくれば、もう不運に見舞われることもないのに。

矢崎粟は冷たい声で言った。「残りの半分は当然、矢崎美緒が使ってしまったのよ。全部取り戻したいとでも?」