402 特製の香袋

矢崎正宗は冷たい表情で、冷ややかな声で言った。「彼女は私が呼んだんだ。何か文句があるのか?」

澤蘭子は病室内を何度も見回し、最後に藤田川だけが部外者だと気づき、心の中で納得した。

どうやら、探していた人物は彼のようだ!

小林美登里は不満げに言った。「私は矢崎家の夫人として、外来の客について尋ねることもダメなの?」

矢崎正宗は厳しい表情で、「むしろ私が聞きたいのは、なぜ彼女を連れてきたんだ?」

彼は妻が澤蘭子と接触することを望んでいなかったのに、小林美登里はその人を病室まで連れてきてしまった。

小林美登里は眉をひそめ、「矢野夫人が三男を見舞いたいと言ったの。これも思いやりじゃない」

その話題が出ると、澤蘭子は笑顔を作って、「そうよ、ただ見舞いに来ただけよ」

矢崎正宗は冷たい目で二人を見つめたが、何も言わなかった。