388 矢崎美緒が蠱毒に中る

竜田実子は冷たい表情で矢崎美緒を見つめ、尋ねた。「あなたは呪虫をかけられたわね。誰かを怒らせたの?」

彼女は知っていた。この数日間、南西の呪術王と名乗る者が中華街に入ってきたことを。

しかし、その人物は矢野夫人が矢崎粟に対抗するために呼んだ者だった。

だから、彼女たちは気にも留めず、心配もしていなかった。

しかし今、矢崎美緒が呪虫にかかっているとなると、おそらく呪術王の仕業に違いない。

矢崎美緒は一瞬固まった。これは一体どういうことなのか?

本来なら矢崎粟が呪虫にかかるはずだったのに、かかったのは自分だった!

もしかして……

矢崎美緒は何かを思い出し、竜田実子に尋ねた。「竜田おばさん、呪虫を体に宿らせるには、どんな条件が必要なの?」

竜田実子は少し考えてから答えた。「その人の髪の毛か血液が必要よ。」