竜田実子は冷たい表情で矢崎美緒を見つめ、尋ねた。「あなたは呪虫をかけられたわね。誰かを怒らせたの?」
彼女は知っていた。この数日間、南西の呪術王と名乗る者が中華街に入ってきたことを。
しかし、その人物は矢野夫人が矢崎粟に対抗するために呼んだ者だった。
だから、彼女たちは気にも留めず、心配もしていなかった。
しかし今、矢崎美緒が呪虫にかかっているとなると、おそらく呪術王の仕業に違いない。
矢崎美緒は一瞬固まった。これは一体どういうことなのか?
本来なら矢崎粟が呪虫にかかるはずだったのに、かかったのは自分だった!
もしかして……
矢崎美緒は何かを思い出し、竜田実子に尋ねた。「竜田おばさん、呪虫を体に宿らせるには、どんな条件が必要なの?」
竜田実子は少し考えてから答えた。「その人の髪の毛か血液が必要よ。」