この水晶は、伝説の録画水晶に違いない。
それは録画機のような機能を持ち、人の動きや声をすべて記録して、水晶の中に保存することができる。
水晶が再生され、高橋寛人が話し始めた。
「粟、久しぶりだな。この映像を見ているということは、お前が生死の劫難を乗り越えたということだ。師匠としてお前を誇りに思う。」
「五年前、私はお前が劫難に遭うことを占った。その劫難の中で、お前は天と戦わなければ生き残れない。お前は古い呪術をかけられている。強くなる努力をしなければ、その呪縛から逃れる望みはない。」
「道家協会から物を受け取ったことで、協会についてより深く理解したはずだ。ここで一つ警告しておく。協会の誰も簡単に信用してはいけない。中華街は大きな監獄だ。早く離れなければならない!」
「玉壁は私の家に代々伝わる宝物で、その中に秘密が隠されている。それを解き明かせば、一つの機縁を得ることができる。玉壁のために、私は追われ、何度も命を落としかけた。必ず身を守るんだ。」
「背後にいる者の実力は非常に強い。五級大円満の境地に達するまでは、復讐を考えるな。必ず自分の身を守るんだぞ!」
その後、高橋寛人は道家協会の信頼できる数人の名前を挙げた。
最後に、高橋寛人は一つの住所を告げ、矢崎粟に覚えておくように言った。
東京で、高橋寛人は矢崎粟のために別荘を買っており、不動産証書には矢崎粟の名前が記されていた。家の中には多くの骨董品や書画も残されていた。
矢崎粟が行き場を失った時は、その別荘で暮らせばいい。
それらの書画を売るだけでも、矢崎粟は一生快適に暮らせるはずだ。
これらを言い終えると、高橋寛人は血を吐き、顔色が一段と青ざめた。彼は衰弱した様子で続けた。「私の仇は討たなくていい。お前が幸せに暮らせば、それで師匠は満足だ。しっかり自分の身を守るんだ。」
言葉が終わると、水晶の中の映像は終了した。
矢崎粟は涙を流しながら、その場に呆然と座り込んでいた。
師匠が追われていたとは。必ず師匠の仇を討つと決意した。
師匠の言葉から、矢崎粟は彼が背後にいる者の正体を知っているのではないかと推測した。しかし、それを口に出すことはできなかったのだろう。
その者の実力は極めて強く、間違いなく五級上品を超えているはずだ。