藤田川は手を上げ、茶碗を取り、そっと一口啜った。
突然、何かを感じたかのように、東南の方向に目を向け、警戒の色を浮かべた。
数秒後、ようやく完全にリラックスした。
藤田川は大円満境界に達しており、誰かが呪術を使えば、その波動を感じ取ることができた。
先ほど、誰かが呪術を使い、呪虫を植え付けることに成功したのを感じ取った。
そこで、意識で追跡してみると、南西の呪術王が小林美登里に呪術をかけており、しかも成功していたことがわかった。
三日後、呪いの毒が発動する。
藤田川は少し考えてから、矢崎粟に向かって尋ねた。「矢崎夫人が呪いにかかりました。三日後に発動しますが、助けますか?」
矢崎粟は首を振った。
以前、彼女は小林美登里に警告していた。澤蘭子と関わり続けると、深刻な結果になると。
しかし小林美登里は聞く耳を持たず、彼女にもどうすることもできなかった。
小林美登里が迷いを改めないのなら、助けないのも仕方ない。
呪虫の力を身をもって体験させれば、少しは賢くなって、この教訓を覚えるだろう。
そして、藤田川は再び何かを感じ取った。
彼は口を開いた。「矢崎正宗が道家協会に来て、管理人の事務所に入りました。」
矢崎粟は少し考えてから尋ねた。「矢崎美緒の運気を盗んだ件の調査結果が出たのでしょうね?」
そうでなければ、彼が来る理由はないはずだ。
誰かに助けを求めるなら、藤田大師を最も信頼するはずだから。
藤田川は感心したように彼女を見て、笑いながら言った。「師妹は本当に先見の明がありますね。その通り、矢崎美緒のことです。」
数日間の遅れを経て、ようやく調査結果が出た。
しかし、この結果を矢崎正宗が信じるかどうかは分からない。
矢崎粟は尋ねた。「調査結果はどうなったのですか?師兄はご存知でしょう?」
藤田川は協会の中にいるので、情報は詳しいはずだ。
しかし現在の状況を見ると、矢崎美緒は自由に動き回れているということは、彼女が釈放されたということだ。
つまり、責任は矢崎美緒にはないということになる。
運気を借りる件については、きっと誰かが彼女の罪を肩代わりしたのだろう。
藤田川はしばらく考え込んでから、この件の結果を思い出した。「目立たない玄学師が、自ら罪を認めました。」