416 澤家を圧迫する

矢崎正宗は頷いて、「言われなくても、さっき既に通達を出したところだ」と言った。

今後、澤家に関係する企業とは一切取引しない。これは業界内への警告だ。澤家を助ける者は矢崎家の敵となる。

今回こそ、澤家に矢崎家の実力を思い知らせてやる。

矢野夫人は何度も彼の底線を踏み越え、娘の粟を狙い、さらに妻の名誉を傷つけた。

矢崎正宗がここで何もしなければ、これまでの年月は無駄になってしまう。

小林美登里はそれを聞いて、心が躍った。

夫までも自分の味方についたのだから、きっと澤蘭子を懲らしめることができる。

矢崎正宗が病室で澤家への報復を考えているところに、一本の電話がかかってきた。

見知らぬ番号の固定電話だったので、不思議に思いながら「もしもし?何のご用でしょうか?」と尋ねた。