老医者は髭を撫でながら、「脈が浮いていて、薬効が強い。恐らく、香辛料や薬草のようなものでしょう」と言った。
小林美登里はその場に立ち尽くし、言葉を失った。
本当に薬草が原因だったなんて!どうしてこんなことが?
小林美登里は信じられなかった。澤蘭子が彼女を怒らせるために、わざと肝火を促す香袋を持ってきたのは、一体何のためだったのか?
矢崎正宗は妻が驚愕しているのを見て、老医者に向かって尋ねた。「何か副作用はありますか?」
小林美登里が副作用のことを聞かなければ、そこまで焦ることはなかっただろう。
彼は妻に、彼女が信頼していた友人が実は彼女のことを全く考えていなかったことを気付かせたかったのだ。
老医者は言った。「肝火が盛んになると、心が乱れ、感情が不安定になります。長期間続くと、容貌が衰え、シミができ、さらには乳がんなど、様々ながんを誘発する可能性があります」