矢崎美緒は携帯を取り出し、アドレス帳を見返した。
最後に、彼女の目は矢崎政氏と矢野常の二人の名前で止まった。
彼女は知っていた。矢野夫人の件で、矢野常はまだ中華街を離れておらず、矢崎政氏は病室で矢崎若菜の看病をしていることを。
この二人を利用できる。
そこで、矢崎美緒は携帯を取り出し、まず矢野常にメッセージを送った。【常さん、まだ中華街にいると聞きましたが、私も最近暇なので、一緒に出かけませんか?素敵な景色に出会えるかもしれません。】
送信後、矢崎美緒は少し考えてから、矢崎政氏にも同じメッセージを送った。ただし、呼び方を変えただけだった。
彼女は矢崎政氏へのメッセージに謝罪の言葉も添えた。
二通のメッセージを送った後、彼女は期待に胸を膨らませながら返信を待った。