夜の尋問の時になって、問題が発生した。
呪術王は罪を認めることを拒否した。
彼は言った。「私の居場所を漏らした人物が誰なのか教えてくれ。その人物に一度会いたい。会った後なら、すべてを白状する。そうでなければ、死んでも何も話さない。」
そう言うと、彼は冷たい表情を浮かべ、一言も発しなくなった。
もし本当に矢崎粟が玄学管理所を助けたのなら、なぜ自分を陥れたのか聞きたかった。二人には何の私怨もなかったはずだ。
鈴村薫は尋問についてよく研究していた。
彼女はこの男の様子を見て、矢崎粟に会うことを固く決意していることを理解した。
川上孝史もいらだちを覚えた。「一体何のために会いたいんだ?相手はお前のことなんて知りもしないのに、会ったところで何になる?」
どんなに説得しても、呪術王は一言も発しなかった。
一時間後、呪術王は続けて言った。「彼女に聞いてみたらどうだ?彼女も私に会いたがっているかもしれない。私には彼女が欲しがっている情報があるからな。」
彼は、このままでは死を免れないことを知っていた。
しかし、死ぬ前に一縷の望みを見出したかった。
川上孝史と鈴村薫は顔を見合わせ、鈴村薫は外に向かって歩き出しながら声を返した。「彼女に電話してみる。」
矢崎粟が来るか来ないかは、どちらでもよかった。
しかし、もし彼女が来れば、尋問はより早く進むかもしれない。
鈴村薫はすぐに矢崎粟に電話をかけ、すぐに電話がつながった。
彼女は尋ねた。「矢崎粟さん、南西の呪術王があなたに会いたがっているんですが、会ってみたいですか?決めるのはあなた次第です。」
その言葉を聞いて、矢崎粟は少し驚いた。
彼女は呪術王とは面識がなく、知り合いとは言えなかった。「私に会いたいって?聞き間違いじゃないですか?」
鈴村薫は断固として言った。「間違いありません。彼はあなたに会いたがっています。私たちに助言をくれた人物が誰なのか気になっているようです。あなたが興味を持ちそうな情報も教えると言っています。」
矢崎粟は少し笑った。
彼女はもともと玄学管理所を見学してみたいと思っていたし、この男が情報を教えてくれるというなら、行ってみようと思った。
その情報は、おそらく矢野夫人か彼女の母親に関することだろう。