矢崎正宗は話を聞き終わると、目を輝かせ、しばらく考えてから口を開いた。「もしかして、背後に別の人物がいて、この小西大師は単なる身代わりなのか?」
矢崎粟は否定せず、冷淡な表情を浮かべた。
矢崎正宗は少し考えて、「では、私は今どうすればいいのだろうか?」
このような誤魔化しには納得できないが、道家協会の調査結果を変えることもできない。
真犯人を突き止めて、家族に正義を取り戻したいと思った。
しかし、もしこの件の後で、背後の人物が矢崎家に対して運気を吸い取る以上の悪質な方法を使ってきたら、それこそ大変なことになる。
矢崎粟は黒い碁石を置きながら、笑って言った。「それなら力を合わせて、背後の人物と戦いましょう!」
彼女には予感があった。その人物は必ず道家協会の中に潜んでいる。
しかも上層部の人間だ。
もしかしたら、自分の知っている人かもしれない。
矢崎正宗は頷き、目に何かを思案する様子が浮かんだ。
矢崎粟は続けた。「その人物の身分は並大抵のものではなく、大きな権力を持っています。そうでなければ、調査結果を改ざんして一手に収めることなどできないはずです。」
藤田川は口元に笑みを浮かべた。やはり人を見る目は間違っていなかった。矢崎粟は賢い。
矢崎粟は矢崎正宗を見て、「まずは東京に戻って、国の関係部門に苦情を申し立て、この調査結果を受け入れないと表明するといいでしょう。」
受け入れないとなれば、必ず再調査をしなければならない。
しかも今度は、国家機関が特別チームを編成して、調査に当たることになる。
矢崎正宗は頷き、目に笑みを浮かべた。「私もそう考えていた。」
近いうちにさらに証拠を密かに集め、東京に戻ったら直ちに苦情を申し立てるつもりだった。
藤田川は白い碁石を置きながら、暗示的に言った。「協会は、このような外部に知られ、影響の大きい害人事件に対して、必ず公告を出すはずです。」
その公告で、調査結果が説明されることになる。
矢崎粟は目を輝かせ、矢崎正宗に向かって言った。「その時、あなたは投稿をして、この調査結果を信じられないと表明し、さらなる調査を要求するのです。」
その時には、外部がその公告を信じるか信じないかに関わらず、矢崎美緒が人の運気を吸い取って不幸をもたらすということは、芸能界で公認の事実となるだろう。