449 監視カメラを確認する

川上孝史は顔を輝かせたが、すぐに困ったように言った。「監視カメラを調べたところ、川上夕子は死亡する一週間前まで外出していなかったことが分かりました。部屋にも誰かが入った形跡はなく、体にも呪術の痕跡は残っていませんでした。そのため、手がかりが全く見つかりません。」

手がかりも証拠もなければ、どうやって犯人を見つけられるのだろうか?

矢崎粟はしばらく考えてから、「監視カメラの映像を見せていただけますか?」と尋ねた。

彼女は、事態がそう単純なはずはないと感じていた。証拠はあるはずだが、誰かが手を加えたために川上孝史たちが見落としているのかもしれない。

川上孝史はその言葉を聞いて、白い歯を見せて笑った。「もちろんですよ。よければ現場も案内しましょうか。もっと多くの発見があるかもしれません。」

「いいですね。じゃあ迎えに来てください!」と矢崎粟は答えた。

川上孝史は「了解です、では後ほど」と返事した。

二十分後、矢崎粟は玄学管理所の車に乗っていた。

車内では、川上孝史が助手席に座り、矢崎粟と鈴村薫が後部座席に座り、運転は二班のメンバーが担当していた。

川上孝史は振り返って、感心したように言った。「矢崎さんが一人で道家協会全体と対抗するなんて、本当に感服します!」

そんな度胸は、誰にでもあるわけではない。

矢崎粟は少し笑って、「お褒めに預かり光栄です!川上夕子の件もしっかり調査してくださいね。さもないと、私から苦情を入れることになりますよ。」

彼女は鈴村薫と川上孝史を完全には信用できないものの、この二人が背後の人物の側についているわけではないことは確信していた。

川上孝史は照れくさそうに頭を掻きながら、「しっかり調査したいのはやまやまなんですが、手がかりが見つからなくて。玄学管理所にあなたのような人材がいれば、事件解決に困ることはないんですがね。」

そう言って少し間を置いてから、「うちの玄学管理所に入りませんか?どうせ道家協会を辞めたんですし、あなたにとっても悪くない話だと思うんですが。」

理屈の上では、道家協会は玄学管理所の監督下にある。

矢崎粟が玄学管理所に加入するということは、より高いプラットフォームへの転職を意味する。

矢崎粟の笑顔は変わらなかった。