矢崎粟はまだ触れていないのに、エネルギーの波動を感じることができた。以前は気付かなかったが、おそらく箱に遮られていたのだろう。
この箱も、丹精込めて作られたものだった。
最上級の霊石は滅多に手に入らないもので、一つあれば法力を大幅に高めることができる。
矢崎粟の壁は既に緩んでおり、まさにエネルギーの補給を必要としていた時期で、この三つの霊石は大いに役立った。
この三つの霊石があれば、彼女を大円満の境地まで引き上げることができる。
この霊石は、本当にタイミングが良かった。
矢崎粟は手元の法器を使って防禦陣法を設置し、誰かが部屋に入ってきたら感知できるようにした。
その後、彼女は知り合いに数日間の閉関修行に入る旨のメッセージを送った。
そして、矢崎粟は部屋に入り、修行を始めた。
彼女は三つの霊石を自分の両側に分けて置き、目を閉じ、三つの霊石のエネルギーを吸収し始めた。
霊石のエネルギーは絶え間なく彼女の体内に流れ込んでいった。
矢崎粟は心を無にし、玄空の境地に入り、空間には彼女一人だけとなった。
二日後、彼女は願い通り壁を突破し、五級大円満境界に到達した。
その後、さらに一日かけて境地を固めた。
師匠は以前、彼女が復讐を果たすためには大円満境界に達し、相手と互角に戦える実力を持つ必要があると言っていた。
今の彼女なら、一戦を交える資格がある。
この日の正午十二時、矢崎粟は満足げに目を開け、体内の法力を感じ取り、喜びに頷いた。
実力は充実しており、とても良い状態だった。
以前は大円満に到達するのに少なくとも一ヶ月はかかると思っていたが、霊石のおかげで三日で突破できるとは思わなかった。
閉関を終えた後、矢崎粟はまず風呂に入り、その後脂肪控えめの栄養食を注文した。
大円満境界に入ってからは、食事への欲求はそれほど大きくなく、必要な栄養を摂取できれば十分だった。
食事を終えた矢崎粟は仕事用の携帯を取り出し、電源を入れた。
予想通り、多くの人から仕事関連のメッセージが届いていた。
しかし矢崎粟が不思議に思ったのは、川上燕が今朝何度も電話をかけてきていたことだった。
矢崎粟は、向こうで何か急ぎの用事があったのだろうと推測した。
そこで、まず川上燕に電話を返した。