矢崎粟は頷いて、お茶を一杯取り、一口飲んだ。
「ちょうどよかった。私もあなたたちに用があって、占いをしてみたら、まさかあなたたちが先に来るとは」これは、彼女が二人の身分を知っているということだった。
同時に、二人が来た目的も知っていた。
矢崎粟の前で、川上孝史は自分が裸にされたような気分で、プライバシーが全くなかった。
彼は鼻を触って、気まずさを隠した。
矢崎粟は直接言った。「何か用があるなら、直接言ってください。私は午後ちょうど暇なんです。他の時間だと、お手伝いできるかどうかわかりませんから」
彼女がそう言うのを聞いて、川上孝史も遠慮しなくなった。
彼は隣の冷たい印象の女性を見て、紹介した。「こちらは玄学管理所の第一部隊の隊長、鈴村薫さんです。彼女があなたと話したいことがあって、私があなたを知っていると聞いて、紹介してほしいと」
鈴村薫は少し笑って、「はじめまして、鈴村です」
矢崎粟は頷いて、「私に何か用でしょうか?」
彼女は玄学管理所との接点も、目の前の女性との面識もないはずだった。
ただ今日、玄学管理所の人と会うことは占いで分かっていた。
鈴村薫は頷いて、「お伺いしたのは、南西の呪術王についてお聞きしたいからです。彼は私たちが追跡している人物で、先日、私たちの部隊は中華街で彼を特定したのですが、また逃げられてしまいました」
「私たちの調査では、彼は姿を変えて東京に来ている可能性があります。あなたに彼の居場所を特定していただきたいのです」
一週間前、鈴村薫は中華街で呪術王を逮捕しようとしたが、また逃げられてしまった。
そのとき、川上孝史は彼女に、矢崎粟なら必ず呪術王を捕まえられると告げた。
当時の鈴村薫は、全く信じていなかった。
玄学管理所には多くの天才がいて、彼らはさまざまな分野の出身で、玄学に精通している者もいたが、誰も呪術王を見つけることができなかった。
一人の女優に、呪術王を見つける能力があるはずがない?
その後、川上孝史がその日三人の犯罪者を捕まえた話をし、鈴村薫はようやく少し信じ始めた。
呪術王は多くの悪事を働いており、一日でも早く捕まえれば、それだけ多くの人を救えるのだ。
その日、鈴村薫は贈り物を持って矢崎粟を訪ねたが、彼女はすでにチェックアウトしており、どこに行ったのかも分からなかった。