462 借金取り

矢崎若菜の考えもネガティブになっていった。

母親のことはさておき、矢崎若菜自身も早く解放されて、死んでしまえば母親の小言を聞かなくて済むと思うようになった。

そして、矢崎若菜の慰めの言葉を聞いた小林美登里は、毛を逆立てた獅子のように、矢崎若菜を指差して叫んだ。「この不届き者め、他人事のように言って、私がどれだけ苦しんでいるか分かるのか?この不孝者!」

元気を出せだって?どうやって元気が出せるというの?

矢崎若菜は冷ややかに鼻を鳴らした。やっぱりそうだ、母親は彼の慰めを聞いても気分が良くなるはずもなく、むしろ彼を叱りつけるだけだった。

彼ももう我慢できず、皮肉っぽく言った。「あなたのような母親がいなければ、私のような不孝な子供も生まれなかったでしょう。全て母さんの教育の賜物です。」

小林美登里は怒りで目が真っ赤になり、怒鳴った。「逆子め、お前は逆子だ。お前を産んでも何の役にも立たない。産んだ時に溺死させておけばよかった。」

言い終わると、小林美登里は床に座り込んで荒い息を吐いた。

矢崎政氏は窓際に立ったまま、他人事のように外を眺めており、仲裁に入る様子は全くなかった。

この時、彼女は突然矢崎美緒のことを思い出した。

矢崎美緒がいれば、きっと彼女をすぐに助け起こし、優しく慰めてくれただろう。

目の前の二人の息子は、誰一人として矢崎美緒に及ばなかった。

小林美登里はさらに怒り、二人の息子を指差して罵り続けた。「お前たちのような借金取りなんて産むんじゃなかった。どっちも私が早く死ねばいいと思ってるんでしょう?死なないわよ。お前たちをとことん苦しめてやる。」

矢崎政氏は彼女が罵り続けるのを見て、ドアを開けて出て行った。

ドアを閉めると、やっと世界の素晴らしさを感じ、気分も随分良くなった。

病室の矢崎若菜は両足がまだ治っておらず、自分で歩くことができず、ベッドに横たわったまま小林美登里の罵声を聞かされるしかなかった。

彼は絶望的なため息をつき、また黙って一連の叱責に耐え始めた。

どうせ小林美登里にとって、こういった出来事は全て息子たちの責任で、彼女自身には何の非もないのだから。

小林美登里は矢崎政氏が出て行ったのを見て、矢崎若菜に火力を集中した。

彼女は矢崎若菜を産んでから、大人になるまで育てた苦労を何度も何度も語った。