495 一時的な抑制

薬でも法器でも、少しでも痛みを和らげることができれば良いのだ。彼は本当に痛くて死にそうだった。

佐藤大師は心の中で呆れていた。彼は玄学師であって医者ではないのだから、痛み止めなどできるはずがない。

しかし、矢崎正宗が傍らで見ているので、自分のイメージを保たなければならない。さもなければ、どうやって矢崎家で仕事を続けられるだろうか?

しばらく考えた後、懐から玉佩を取り出し、小林瑞貴に渡して言った。「この玉佩が効くかもしれない。試してみてください。」

玉佩には濃厚な吉祥の気が漂っており、災いを避け、害を減らし、さらに寿命を延ばす効果もある。きっと痛みも和らげられるだろう。

小林瑞貴は大股で歩み寄り、玉佩を受け取って懐に入れ、目を閉じてしばらく感じ取っていた。

彼の表情が少し楽になった。「本当に効くんだ。あまり痛くなくなった。」

佐藤大師は効果があることを見て、やっと笑みを浮かべた。「効いてよかった。」

森田廣はその様子を見て、我慢できずに尋ねた。「大師、他の法器はありませんか?私も体中が痛くて。」

彼は我慢強い方だったが、体中の傷があまりにも多く、もう耐えられなくなっていた。

佐藤大師は一瞬戸惑い、森田廣の顔を見つめた。

なんと森田家の若様だったとは!

彼は森田家と親交を結びたいと思い、再び袋から玉の瓢箪を取り出し、森田廣に渡した。「この法器も効くはずです。」

森田廣は玉の瓢箪をしっかりと握り、自分の胸元に当て、深く息を吸い込んだ。

ようやく少し楽になった。

矢崎美緒と吉村久真子も目を輝かせて佐藤大師を見つめ、痛みを和らげる法宝を期待していた。

しかし佐藤大師は首を振って言った。「本当にもうありません。法器は二つだけです。」

矢崎美緒は唇を強く噛み、目に怒りを宿していた。

この男は彼女が背後の人物と連絡を取って中華街からわざわざ呼び寄せた人物で、目的は矢崎家を制御し、彼女を助けることだった。

しかし今見ると、この人物の実力は非常に弱い。

法器を持っているのに、まず小林瑞貴と森田廣に与えるなんて、本当に腹立たしい!

背後の人物と連絡が取れたら、必ず告げ口してやる。

吉村久真子は涙を流して言った。「大師、本当に痛いんです。助けてください。」