矢崎正宗は心の中で驚いたが、表情は変えずに「ほう?どういう意味でしょうか?」と尋ねた。
彼は佐藤大師を試し、相手の実力を探りたかった。
佐藤大師は指で少し占いをした後、「この二人はあなたの直系の血縁ではありませんが、誰かに何かをかけられて、耐えがたい痛みに苦しんでいます」と言った。
「詳しく教えていただけませんか?」と矢崎正宗は更に尋ねた。
しかし佐藤大師は首を振って、「矢崎道友、彼らをここに呼んでください。私が直接確認してから、結論を出したいと思います」と答えた。
矢崎正宗は携帯を取り出し、助手に電話をかけた。「四人を上に来させてくれ。社長室で待っている」
しばらくして、矢崎美緒たち四人が下から上がってきた。実は彼らはすでに到着していたが、矢崎正宗が佐藤大師を試すつもりで、彼らを下の休憩室で待機させていたのだ。
四人が入室すると、矢崎正宗は佐藤大師に頷いて「大師、四人が参りました」と告げた。
佐藤大師は少し笑って「今から診させていただきます」と言った。
まず小林瑞貴を診たが、特に問題は見つからず、凶気の痕跡も見当たらなかった。
判断を間違えたのだろうか?
彼は眉をしかめ、残りの三人も診たが、原因は見つからなかった。
来る前に、痛みの原因を凶気の侵入だと判断していたが、今凶気が見つからないということは、その可能性は排除された。
佐藤大師はしばらく躊躇してから、ポケットから四枚の符紙を取り出した。
「これを身につけてください。痛みが和らぐかもしれません」と彼は言った。
四人は急いで符紙をポケットに入れた。
しかし次の瞬間、四人の体から同時に激痛が走り、以前の二倍も痛くなった。
小林瑞貴は大きな叫び声を上げ、彼のポケットから火花が散り、すぐに紙の焦げる匂いが漂ってきた。
ポケットに手を入れてみると、符紙はすでに灰になっていた。
他の三人も符紙のあった場所に手を伸ばしたが、何も触れなかった。彼らの符紙も燃えてしまっていた。
矢崎正宗は躊躇いがちに佐藤大師を見て、不思議そうに「佐藤大師、これはどういうことですか?」と尋ねた。
佐藤大師はその場で固まってしまった。彼にもわからなかったのだ。
理論上、この符紙は凶気に対して効果があるはずなのに、なぜ燃えてしまったのか?