矢崎美緒は前に進み出て、小林瑞貴の手を掴んで、「でも、私にはいとこがいるじゃない。いとこが助けてくれるよね?」
小林瑞貴は彼女の媚びた様子を見て、なぜか胸が悪くなった。
彼はこの期間に何が起きたのか調べることにした。
小林瑞貴は言った。「お前の大好きな二番目の兄さんは芸能事務所にいるんじゃないのか?なぜ彼が助けてくれないんだ?」
矢崎美緒は目を光らせ、笑いながら言った。「兄さんは私に自力で頑張って欲しいって。でも昨夜の矢崎粟の傲慢な態度を思い出すと、我慢できないの」
そう言うと、彼女は小林瑞貴に抱きつき、頭を彼の体に寄せかけた。
小林瑞貴は不意に言った。「俺の女になりたいなら考えてやらないこともない。だが、リソースを与えるかどうかは、お前にその価値があるかどうかによる」
この言葉を聞いて、矢崎美緒は背筋が寒くなった。
小林瑞貴の冷たい視線が彼女の体を見つめていた。まるで毒蛇のように。
矢崎美緒は思わず震えながら、「いとこ、何を言ってるの?私はあなたの妹よ。どうしてあなたの女になんてなりたいと思うの?」
どうしてこんな侮辱を?
小林瑞貴は冷笑して、「じゃあなぜいつも俺に抱きついて甘えて、何かを頼むんだ?」
この親密な行動は、海外でも普通じゃない。
彼はとっくに気づいていた。
矢崎美緒は泣きそうになって、悔しそうに言った。「いとこ、私はただあなたを頼りにしているだけよ。本当に誤解してる」
実は彼女は小林瑞貴の女になることは構わなかったが、小林瑞貴がそれを受け入れず、むしろ彼女を嫌悪するだろうことを知っていた。
小林瑞貴は彼女の顎を持ち上げ、冷笑を浮かべながら言った。「へぇ?じゃあ俺の誤解だったんだな。大人しくしておけよ。さもないと足を折らせるぞ」
矢崎美緒は唇を強く噛んだ。
彼女は小林瑞貴がそんなことをする人だと知っていたので、目に涙を浮かべながら小林瑞貴の手を払いのけ、押しのけて言った。「意地悪ないとこ、お母さんに言いつけて、しっかり叱ってもらうわ」
そう言うと、矢崎美緒は部屋から走り出て行った。
小林瑞貴はその場に立ったまま、冷ややかに鼻を鳴らし、服を整えて部屋を出ようとした時、電話が鳴った。
連絡先を確認して電話に出ると、「絶交するって言ってたじゃないか?」