519 矢崎美緒が再び現れる

矢崎美緒は皆の反応を見て、心が凍り、顔の笑みも薄くなったが、すぐに立ち直った。

この人たちが彼女を標的にすればするほど、彼女はもっと番組をしっかり撮影しようと思った。

矢崎弘は空いている席を見つけて座り、矢崎正宗にメッセージを送った。

矢崎美緒もそれを見て座った。

矢崎粟は横目で何かを見つけ、矢崎美緒の手首を見た。それは吉祥の気を帯びた仏珠だった。

これは、背後の人物が矢崎美緒に与えたものに違いない。

もしこの仏珠を手に入れることができれば、その気配を感知して、背後の人物を追跡するのに大きな助けとなるだろう。

矢崎美緒は矢崎粟の視線に気づき、口角を上げた。

この仏珠のおかげで、彼女の顔の痛みは消え、以前より美しくなった。

すぐにスタッフが入ってきて、皆にステージに上がれると告げた。

小島一馬は矢崎粟の横を歩きながら、携帯を渡して言った。「粟、これは僕が作った旅行プランだよ。あの小島に一緒に行く約束だったでしょう。」

矢崎粟はそれを見て、満足そうに笑った。「とても詳しいわね。今すぐにでも行きたくなるわ。」

二人は小島への旅行について話しながら歩き、顔には楽しそうな笑みを浮かべていた。

矢野常は後ろをついて歩きながら、心が苦しくなった。

本来なら、この番組に参加しなくても良かったのに、ただ矢崎粟に会いたかった。

矢崎粟が小島一馬と過ごす様子を見て、彼は矢崎粟との思い出を思い出した。

あの時、彼はあまり話すのが得意ではなかったので、いつも矢崎粟の話を聞いていた...もう全てが戻らない。

矢崎弘は矢野常の肩を叩いた。「何も考えないで、このバラエティ番組をしっかり撮影しよう。」

彼は知っていた。矢野常がきっとつらいだろうと。

矢野常だけでなく、彼も心が痛かった。この小島一馬は本当に計算高い、まさか旅行プランまで作るなんて。

彼はまだ妹と一緒に旅行に行ったことがないのに!

矢野常は首を振った。「こういうことはコントロールできないよ。そのままにしておこう!」

矢崎弘はため息をついた。

彼は矢野常が自業自得だと思ったが、矢野常の魂の抜けたような様子を見ると、心も痛んだ。

総監督は矢崎美緒と矢崎粟の間の対立を知っていた。彼は笑みを浮かべた。

今回の番組の視聴率は間違いなく高くなるだろう。