518 運気を盗む身代わり

食事の時、矢野朱里は矢野寿にこの件について話し、矢野寿はすぐに部下に調査を命じ、夜には情報が入ってきた。

矢崎粟はその時刻を見て、指で計算してみた。

そして、彼女の顔に疑問の色が浮かんだ。「この運命の持ち主は十五歳まで生きられないはずなのに、なぜ矢野徹は今も生きているの？」

何か秘密があるのだろうか？

矢崎粟：「もし彼が元気に生きているなら、二つの可能性しかありません。一つ目は誰かが常に彼の命を延ばしているということ、二つ目は彼が運気を盗む身代わりになっているということです。」

「身代わり？」矢野朱里は眉をひそめて尋ねた。

矢崎粟は説明した。「身代わりは背後の人のために運気を盗み、背後の人は身代わりから運気を吸い取ります。そうすれば天道に発見されにくく、たとえ反噬があっても身代わりにしか及ばないのです。」

そして矢野徹は生きるために、運気を吸収するしかなく、さもなければ死んでしまうのだ。

矢野朱里はようやく理解した。「なるほど、でも身代わりになるのは悲惨すぎますね。何も得られないどころか、死にやすいなんて。」

矢崎粟は言った：「そうです。背後の人は狡猾で陰険です。これからの行動はより慎重にしなければなりません。」

矢野朱里は頷いた。「じゃあ粟、この情報を消してくれない？誰かに見つかるのが怖いの。」

その後、矢崎粟は矢野朱里と矢野寿のチャット履歴を消去し、探偵社とのやり取りも消去した。

全て片付いてから、携帯を矢野朱里に返した。

矢崎粟はまだ不安だったので、青い玉佩を取り出し、簡単な防御陣を施してから矢野朱里に渡した。

翌日、川上夕子はオフィスに入ってきた。

「粟さん、あるバラエティ番組からのオファーがありますが、行きたいですか？」と川上夕子は言った。

矢崎粟は書類を受け取り、さっと目を通した。

このバラエティ番組は1回だけの出演で、視聴者層が広く、ほとんどのネットユーザーが好んで見ている。この番組に出演すれば矢崎粟にとってもメリットがある。

ただし良くない点は、この番組が前回の番組のレギュラーメンバーを招待しており、矢崎美緒も招待されていることだ。

招待されたゲストは：矢崎粟、小島一馬、矢野常、矢崎美緒、森田輝、田中凛。

矢崎粟は頷いた。「行きましょう。どうせこの時期は仕事がないし。」