矢野常も頷いた。「そうだね。彼らにもう少し頑張ってもらおう」
次の瞬間、ステージの大画面に三組のeスポーツ選手の情報が映し出された。
小林瑞貴は最後のグループを見て驚いた。「あれは今年のeスポーツ大会の優勝者じゃないか。まさか来るとは。これは負けるに決まってる」
皆も大画面を見つめた。
三組の選手九人それぞれに強みがあり、大小様々な大会に参加してきた実績があった。
小林瑞貴は意気消沈して言った。「この三組は実力が高すぎる。矢崎粟たち三人は一回戦で敗退することになりそうだ」
森田輝は隣に座りながら反論した。「そんなこと言うな。小島様は実力が凄いし、粟のゲームプレイも見たことあるけど、すごく上手いよ。田中凛も相当な実力者のはずだ。勝てるかもしれないじゃないか!」
彼らは六人のために戦っているんだ。たとえ負けても構わないが、試合前に自分たちの士気を下げるわけにはいかない。
矢崎美緒は口を尖らせた。「楽観的すぎるわよ。相手がどれだけ強いか分かってるの?」
彼女は出場していないし、矢崎粟に勝ってほしくもなかった。
どうせクルーズ船には乗ったことがあるし、今回は気にしていなかった。でも矢崎粟が本当に勝ったら、きっとより多くのファンを引き付けることになる。
森田輝は呆れて言った。「相手がどんなに強くても、矢崎粟たちの方が強いわ。私は矢崎粟たち三人を信じてる。もしこれ以上自分たちの士気を下げるなら、勝っても船には乗せないわよ!」
矢野常は少し慌てた。
矢崎粟に誤解されたくなかったので、首を振って言った。「矢崎粟たちは必ず勝てる。相手の実力は平均的だよ」
小林瑞貴は矢野常を見つめ、呆然とした表情を浮かべた。
これは嘘じゃないか?優勝者の実力が平均的?
小林瑞貴は前回の呪術を思い出し、恐れを感じながらも口を開いた。「そうそう、彼らは絶対勝つよ。三人は最高のチームメイトで、息の合った連携と強力な実力を持ってる!」
言い終わると、森田輝に向かって笑みを浮かべた。
森田輝は冷ややかに鼻を鳴らした。
矢崎美緒は一瞬戸惑った。この二人がこんなに早く寝返るとは思わなかった。態度を表明していないのは自分だけになってしまった。
矢崎美緒も仕方なく、固い表情で笑いながら言った。「彼らは必ず勝てるわ」
言い終わると、スマートフォンを触る振りをして俯いた。