「お前の母さんの考えは、私の考えだ」と小林潤が横で同意した。
今日、矢崎美緒と小林家の間で、小林美登里は選択をしなければならなかった。
部屋中の人々が小林美登里を見つめ、彼女の選択を待っていた。
小林美登里は両親が本当に絶縁しようとしているのを見て、心に不安を感じたが、それ以上に怒りを感じていた。
なぜ両親は彼女を信じてくれないのか?本当に自分という子供を捨てるつもりなのか?
彼女は怒りと悔しさを感じながら、周りを見回して言った。「これはあなたたちが私に出て行けと言ったのよ。これからは私に戻ってくるように頼まないでね」
彼女にも意地があった。
小泉西は無言で冷笑した。この義理の妹は本当にわがままだ。
自分が間違ったことをしておきながら、家族を脅すなんて、初めて見た。
小林潤は冷たい声で言った。「お前がこのドアを出たら、もう二度と小林家の子供ではない。よく考えろ」
これが彼が小林美登里に与えた最後のチャンスだった。
小林美登里は顎を上げて言った。「考えは決まったわ。私は自分の意見を貫くわ。美緒を手放すつもりはないし、瑞貴のことは最高の大師に治療してもらうわ」
言い終わると、彼女はバッグを肩にかけ、振り返ることなく病室のドアに向かって歩いて行った。
小林悠一は妹が病室を出て行く姿を見送り、その姿が徐々に遠ざかっていくのを見ながら、心の中で妹を追い出し、これからは四人家族だけを心に留めることにした。
彼は情け容赦のない人間ではなかったが、小林美登里が今回やったことは度を超えていた。
病室を出た小林美登里はようやく一息ついた。
病室の中では、みんなが容疑者を見るような目で彼女を見ていた。まるで彼女が極悪非道な事をしたかのように。
小林美登里は軽く口を尖らせ、小声で呟いた。「小林瑞貴を治したら、この件についてちゃんと話し合いましょう」
彼女は家族との絶縁の件を気に留めていなかった。
小林美登里からすれば、家族がこんなことを言うのは彼女を脅すためだけで、本当に絶縁するはずがない。彼女は兄と両親のことをよく知っていて、彼らは絶対に彼女を手放せないはずだと。
これも小林美登里が自信を持っている理由の一つだった。
小林潤が反応する間もなく、小林美登里が大股で病室を出て、振り返ることもなく去っていくのを見た。