岡本棉は矢崎粟の方を見て、懇願した。「矢崎大師、今夜もここに留まっていただけますか?もしあなたがいなければ、明日の位牌移動のことが心配で仕方ありません。」
矢崎粟は頷いた。「もちろんです。あと二日ここに留まり、三日目に本堂で法事を行い、最後にみなさんと一緒に帰ります。」
岡本棉はようやく安心した。「それは良かったです。」
矢崎粟がいなければ、本当に不安でたまらないだろう。
その後、運転手が古い家で物を燃やすために残り、他の三人はまずホテルに宿泊した。運転手は物を燃やし終わった後、自分でホテルに向かった。
昼食を急いで済ませた後、岡本棉と林保志は近くの街に専門の位牌移動の法師を探しに行き、大量の供物も購入した。午後になってようやく全てが整った。
翌日の午前九時。
岡本棉は位牌の前に跪き、誠心誠意祈りを捧げ、叩頭礼拝などの儀式を行った後、ようやく専門家に新しい供台と位牌の移動を開始させた。
東側の部屋は昨日すでに掃除を済ませ、周囲には防湿用の石灰も撒いてあった。新しい供台と位牌が無事に部屋に運び込まれると、岡本棉はようやく安堵の息をついた。
古い供台には矢崎粟が符紙を貼っていた。
矢崎粟は古い供台を薪に解体するよう命じ、それを竈に入れて燃やした。
矢崎粟は竈の傍らに立ち、朱砂筆を取り出して竈に幾つもの符文を描き、供台に付着した邪な血を封じ込め、それらの血が火の中で完全に燃え尽きるようにした。
これで岡本家の大部分の厄運を解消できる。
皆が台所の外に立って中を覗き込むと、室内の炎に赤い光輪が混じり、強い生臭い匂いが漂ってきて、とても不快な臭いだった。
林保志は深いため息をつき、瞳が暗く沈んでいた。
矢崎粟の言った通りだったようだ。位牌を移動させなければ、岡本家にはまた何か起こっていただろう。
別荘内。
部屋で静かに療養していた竜田実子が突然床に倒れ、全身が痙攣し、口角から血が床に流れ出した。
この時、竜田実子は悟った。自分が反噬を受けたのだと!
家の下に置いておいたものも、きっと掘り出されるに違いない。
そう思うと、彼女の目に強い不甘の色が浮かび、必死に体を起こして、自分を癒すために法力を使おうとした。
しかし不思議なことに、法力を使おうとすると、それは体内で消散してしまう。
丹田にも何か砕けるような感覚があった。