593 長引く病

しばらくして、田中浩はようやく口を開いた。「あの年、就職説明会の前日に突然高熱を出して、同級生に病院に連れて行かれ、丸三日入院していた。退院して戻ってきたときには、就職説明会は終わっていたんだ」

「就職説明会の数日前に、普段と違うことは何かありましたか?あるいは、普段と違うものを食べたり飲んだりしましたか?」矢崎粟は誘導するように尋ねた。

彼女は田中おじさんの運命が変えられただけでなく、体に毒が仕込まれていることを発見した。この毒こそが、彼が長年病気に苦しむ原因だった。

この件は間違いなく田中凛の母親と、その背後にいる人物に関係している。

矢崎粟の言葉を聞いて、田中浩は再び回想に浸った。

よく考えてみると、本田水鳥とは就職説明会の一ヶ月前に知り合い、一ヶ月の付き合いを経て正式に交際を始めたのだった。