彼女の夫は林家の社長で、投資のために少しばかりの金を出すだけだった。
「それはちょっと…矢崎家のタレントに暗示を与えてしまいましたから」近藤監督は心が動いたものの、やはり断った。
矢崎家の要求は非常に多く、投資を増やせば必ず男性二番手の出番を増やさなければならず、これは彼にとっても悩ましい問題だった。
幸いなことに、この件はまだ正式に決まっておらず、まだ考え直す余地があった。
岡本棉は少し考えてから、さらに言った。「次の脚本の独占権はあなたに取っておきますよ。これでいいでしょう?近藤さん、調子に乗らないでください。あなたが最優秀監督賞を取れたのは、私の脚本のおかげですからね」
「分かりました。約束です。明日にでも名簿を出しましょう。矢崎粟の事務所のタレントでしたよね?」近藤監督はにこやかに返事した。